クリーチャープレイバスケットボール 第五十章 勝利の鍵 五話

第五十章 勝利の鍵 五話

 誰もがジャンプしてブロックする体力はもう残ってないと思ったその矢先。

 バン!

 「なっ!」

 賀古が一驚する先に居たのは、理亜だった。

 理亜はアルティメットロードが封じられたとは言え、奪ったスタミナのお陰で、全回復していたため、ジャンプするなど至って普通な事。

 理亜がボールをブロックして弾いた先に、芙美が居た。

 芙美はボールを手にすると、乱歩・気流を発動させる。

 しかし、限界に近い芙美は、幻影を三人までしか生み出せなかった。

 「頼む。もってくれ」

 芙美は切実な願いを自分自身に込め、口にする。

 代野はもう酔っていない。

 それだけでなく、アルコールを摂取し、大量の汗をかいていたため、脱水症状に近い状態だった。

 「すまぬな」

 芙美はそれを知っていた。

 だからこそ、手加減なく、今できる最大限の力で、代野を抜く。

 三人の芙美が、時間差をかけ、左右から代野を抜き去っていくと、芙美は、ハーフラインから、全力投球で、敵陣のリングに向け、ボールを投げつける。

 誰も追いつけない程の剛速球。

 しかし、一人だけ追いつける人物がいた。

 そう、理亜だ。

 理亜はフリースローラインから跳躍し、リング近くでボールを手にすると、アリウープでダンクを決める。

 これで点数は百六十五対百六十七。

 「よし! 行けるぞ!」

 豪真も熱が入り、希望の波に飲まれる。

 「一本取るぞ!」

 「「おう!」」

 飛翔がドリブルして人差し指を上に向け、気合の入った声で口にすると、イリアスたちも力強く答える。

 「よしっ! こっちも気合入れるぞ!」

 「「おう!」」

 奏根も負けじと、チームを鼓舞する。

 加奈が飛翔に近付く直前だった。

 「其方のディフェンスは見切った」

 「えっ?」

 加奈が飛翔に近付く寸前、明鏡止水、抜刀、二の太刀で抜くと、足がコートに着く前に、イリアスにパスを出す。

 移動しながらのパスだったが、難なくイリアスに渡せた飛翔。

 イリアスはスリーポイントラインでそれを受け取ると、理亜はハンズアップし、ディフェンス体制に入る。

 ここでイリアスは奥の手を使う。

 フックシュートの構えでジャンプしたイリアス。

 理亜もボールをブロックしようと、跳躍した。

 だが決定的な違いがあった。

 それはジャンプ力だった。

 イリアスよりも理亜の方が遥か高く飛べる。

 いくらフックシュートとはいえ、最高到達点のボールなど、今のイリアスには微々たるものだった。

 しかし、イリアスは全神経をボールを手にしている片手に集中させる。

 放たれたシュートはなんと真上だった。

 理亜はまさかのシュート? に目を剥く。

 天井のライトにでも届くようなシュート?。

 誰もが真下にそのまま落ちる物だと思っていた。

 しかし、そのボールは若干、斜め前に投げられていたのだ。

 角度にして、六度くらい斜め前。

 そのボールは徐々に徐々にリングに向かって行く。

 「リングに落ちる⁉ 順子!」

 「OK!」

 「知留さん!」

 「うん!」

 奏根とイリアスがすぐに指示を出す。

 それはリングにボールが入る可能性が非常に高いため、順子にブロックして欲しいのと、知留には順子をスクリーンにかけて欲しいと言う要望だった。

 優位なポジションを取ろうと、順子と知留がスクリーンアウトをかけあう。

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