
第四十三章 応酬の行方 七話
流石の飛翔でも、四人相手に明鏡止水、抜刀は使えないため、なんと、飛翔の取った行動は、ボールを頭上高く投げ飛ばした。
その空に投げられたボールをなんと、空中にワープしていた遥がキャッチし、ウインクしながら「ありがと♪」と口にすると、手にしたボールは、ふと消える。
それを目にした高貴は、リングの上にボールが現れると予期し、知留のスクリーンを躱し、ジャンプした。
案の定、リングの真上に現れたボール。
「いけるか⁉」
豪真は食いつく様に見ていた。
風の音を切りながら、高貴の振り上げられた手は、なんと、ボールを捕らえた。
「「っ!」」
リングに入る寸前のボールを叩かれた事に、銅羅たちは目を引ん剝く。
弾かれたと同時に第二クォーター終了のブザーが鳴る。
「よしっ!」
豪真は嬉しすぎて思わずガッツポーズを取る。
「凄い高貴ちゃん! あれをブロックした!」
「ええ。さすがです!」
理亜と加奈は嬉しさのあまり、抱き合いながらはしゃいでいた。
「やってくれましたね」
銅羅は不敵に微笑みながら、悔しがっていた。
しかし、それは第二クウォーター終了間際の出来事。
最後の最後に止めたと言う事は、今まで取られてしまった点数は戻らない。
第三クウォーターからは別の選手がエクストラロードを使ってくる。
理亜たちは、その脅威にどう立ち向かうのか?
ハーフタイムで理亜たちは、作戦会議をしていた。
「敵はあと二人がエクストラロードを使えるのか」
奏根は顎を摘まみ、眉を顰める。
「そう身構えなくてもいいじゃん。こっちにだって、芙美ちゃんと理亜ちゃんがエクストラロード使えるわけだしじゃん」
静香は、楽観視していた。
だが、静香は甘く見ていた。
「いや、状況はやはり芳しくない。向こうの明鏡止水、抜刀を未だ攻略できないだけでなく、それが少なくとも二人居るんだ。おまけに、他の選手がどんなエクストラロードを使ってくるか分からない」
豪真が唇を噛み締めどうしたら良いのか思考を巡らせる。
「ぐだぐだ言っても仕方ないよ。どちらにしろここからは後半戦だ。やれるだけやる。ここまで来たらそれしかないよ」
上の空の様に口にする由紀子。
それを聞いた聖加は、「そうですね。出すもの出し切って終わらせて来ないと」と意気揚々と口にする。
確かに、と言う様な表情で頷く理亜たち。
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