
第四十八章 麻痺による進行 二話
順子がすぐさま理亜にパスを出す。
代野には加奈と奏根がスクリーンをかけている。
そこで代野は突発的な物で早大にゲップをする。
「「うっ! 酒くさ!」」
たまらずその匂いをダイレクトに嗅いだ加奈と奏根は鼻を抑え思わず目を瞑ってしまう。
すると、代野はニヤリと笑い、匂いで怯んだ加奈と奏根の間を走り抜ける。
「しまった!」
奏根が声を上げるも、代野は目も止まらぬスピードで理亜の前に出ると、片腕をボールに伸ばす。
右手にボールを持っていた理亜は、瞬時にロールターンし、代野の前に出た。
しかし、代野はその場でバク宙し、理亜の頭上から後方に下がると、再び理亜の前に出る。
「うらうら~、ひっく」
頬を赤らめながら、代野は連続パンチでもするかのように、ボールに何度も食らいつく。
理亜はたまらず後ろに下がる。
すると、またもや予期せぬことが起きた。
「いた!」
突然、理亜が何かに痛み出した。
それは身体全身によるもの。
すると、奏根たちは理亜に加勢しようと走り出している時、ある物を目にする。
それは黄色い雷の様なものが閃光の色を放ちながら、理亜の前から背後に走る光景。
すると、いつの間にか、理亜の右手でドリブルしていたボールが音も無く消えた。
「えっ?」
バコン!
「「うおおおおぉーー!」」
観客たちは熱狂の渦だった。
それは、イリアスがダンクを決めた後に起きた物。
理亜は訳が分からなかった。
自分に電気が走る様な痛みが走ったと思った途端、手にしていたボールは消え、いつの間にかイリアスがダンクを決めていた事に。
奏根たちは確かに見ていた。
雷が走る光景を。
点数は百十一対百三十四
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