クリーチャープレイバスケットボール 第五十章 勝利の鍵 一話

第五十章 勝利の鍵 一話

 一方、理亜たちは……。

 「はあー、はあー」

 奏根たち、シャルトエキゾチックチームは、虫の息に近かった。

 理亜はまだ余力はあるが、ディフェンスに専念し、どれだけ点を取られても徹底した守備を見せ続けた奏根たちは限界に近い状態。

 しかし、点数は、百十一対百六十七。

 第四クウォーターを残り三分にして、五十点差近く付けられていた。

 芙美が第四クウォーターに入って一本取ってから、まさかの無得点。

 どう考えても、ここから逆転など不可能な状態。

 既に、タイムアウトは二回取ってしまい、これ以上の由紀子からのアドバイスは聞けなくなってしまった。

 イリアスたちも息が上がっていたが、まだ余力はある。

 だがそんな事はもう関係ない。

 理亜たちは既に敗北が決まっている様なものだった。

 「残り三分ですか。久しぶりにカップラーメンが食べたくなりましたね」

 穏やかな様子で口にする銅羅に、遥が「私のテクなら、どんな男でも三分も経たず、果てさせるわ~」と悶々としながら艶笑する。

 再び遥から距離を置く銅羅とアサルトハイドチーム。

 それはそうと、豪真たちの目には闘志が消えかけていた。

 奥歯を噛みしめながら、見ていられず、俯いてしまう豪真。

 すると、由紀子がハリセンで豪真の頭をシバク。

 「最後まで目を逸らすんじゃないよ。結果がどうであれ、最後まで粘る意気込みで見届け、迎え折れるのも監督やベンチメンバーの仕事さ」

 ぶっきらぼうに喋りながらも、どこか優しさが伝わってきた。

 由紀子の言葉に、何かを思い知らされたかのように、再び気持ちを切り替え、理亜たちを応援する豪真たち。

 それを聞いた理亜たちは、我に返る様な思いで、智古たちを見る。

 ここまで追い詰められていても、ベンチメンバーや豪真たちは諦めていない。

 その思いが伝わり、理亜は再び気合を入れ直した。

 しかし、奏根たちの目からは闘志が消えかけていた。

 智古たちの声援を聞いても、現実を目の当たりで知らされては、素直にその声援が、胸に響いてこない。

 だからこそ、理亜は一層、気合が入った。

 すると、イリアスが理亜に近付いてくる。

 理亜をスクリーンしながら何か言おうとしていた。

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