クリーチャープレイバスケットボール 第四十三章 応酬の行方 三話

第四十三章 応酬の行方 三話

 ボールを手にした腕をブンブン振り回す静香。

 飛翔たちは、理亜たちを割って入れなく、成すすべなくシズコラシュートは打たれ決まってしまう。

 三十一対五十三。

 この展開が、第二クォーター終了の二分前まで行われていた。

 遥がハーフライン、スリーポイントライン、フリースローラインで点を取れば、静香も負けじとハーフラインからシズコラシュートを打とうとする。

 遥がエブリデイ・イン・ホールでボールを手にした瞬間、ワープさせる度、高貴が、果敢にジャンプし、リングの真上に現れるボールをカットしようとするが、未だに進展がない様に、カット出来なかった。

 それどころか、知留がジャンプさせない様に、高貴にスクリーンを掛けられる場面を多々ある。

 高貴も順子同様、知留の細身でありながらパワーのあるプレーに目を見張っていた。

 そして、点数が七十八対百一の所で、豪真がタイムアウトを取る。

 「みんなよくやった」

 豪真が労いながら、称賛の拍手を理亜たちに贈る。

 「つっ」

 そこで、静香がドリンクのボトルを手にしようとした時、手に痛みが走る。

 「あんたはよくやった。ここまでにしときな」

 そんな静香の青みがかった手を優しく握り、包帯を巻いていく由紀子。

 静香は、手に負荷が掛かるシズコラシュートを限界まで打ち切っていた。

 豪真は、静香が限界になる前に、タイムアウトを取ろうとしたが、静香が「お願いじゃん! もっと役に立ちたいじゃん!」とせがむ様に声を上げてきたため、豪真は苦渋の決断でもするかのように、静香の意思を汲んだ。

 静香だけを、徹底して目で追っていた豪真は、流石の限界を感じ取り、第二クォーター終了の二分前にタイムアウトを取ったのだ。

 全員が静香に優しく接する。

 静香は何故かドヤ顔で頬を赤めていた。

 静香と奏根、理亜と芙美がメンバーチェンジし、いざ出陣。

 すると、コートに戻る前に円陣を組んでいた奏根たち。

「いいか。エクストラロードはどの道十分が限度だ。九番が消耗しきった所で畳みかける」

 神妙な面持ちで奏根がメンバーを鼓舞する。

 「じゃな。第三クウォータからは我も乱歩・気流で応戦する。しばしの信望じゃ」

 芙美の言葉に全員は頷く。

 「よし、ディフェンス、力入れてくぞ!」

 「「ディーフェンス!」」

 奏根たちは片手を中央で重ね合い、押し合うと、力強く発する。

 「どうやら新方さんの限界を迎えてたようですね。あのシュートはとても厄介ですが、手の負担が深刻なほどかかります。なのでここまでと言った所でしょうか」

 銅羅は独り言の様に分析していた。

 さすがの飛翔たちも、静香のシズコラシュートを防ぐ術がなく、見送るしかなかった。

 そして、残り二分の第二クォーター。

 試合は再開され、奏根たちボールから始まる。

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