
第四十三章 応酬の行方 一話
場面は変わり、理亜たちは第二クウォーターを迎えていた。
アサルトハイドチームのメンバーは変わらずだが、シャルトエキゾチックチームは、順子と奏根を変え、高貴と静香がコートの上に立っていた。
第二クウォーター開始から二分、点数は十八対三十六で理亜たちが負けている。
そこまで点差が離された理由とは?
「くっ!」
「ごめんなさいね~」
聖加はいつの間にか、手からボールを手にしていなかった遥からリングに目を剥けると悔しそうな表情をしていた。
投げキッスを聖加にし、自分たちのコートに戻っていく遥。
「何がどうなってんじゃん、あれ?」
「さっぱり」
静香が思案顔で理亜に話を振ると、理亜は眉を顰める。
点数は十八対二十八。
第二クウォーター開始から、なんと、遥はエクストラロードを使っていた。
その能力とは?
「なんか、あの九番の選手がボールを持った途端、ボールが消えて、リングの中に入っちゃってるよね?」
「うん。どう言う事なんだ?」
智古と順子が訝しい表情で言葉を交わしている。
「単純な話さ。あの九番は、手にしたボールを空間移動させられるんだ。見ている限り、手にしてないと発動できてないから、手にする事が発動条件だね」
「相変わらずの分析能力ですね」
「伊達に年は食ってないよ」
流暢に説明する由紀子に感嘆の声を漏らす加奈。
由紀子は不気味に微笑むと、少し冷や汗をかきながら愛想笑いするメンバー。
「エノアが気付いているといいのですが」
「もうそろそろ気付くさ」
豪真が心配していると、由紀子は躊躇わず口にする。
すると、エノアは、全員に集まる様に指示を出すと、少しの間だけで何か説明を終えたみたいだった。
それを見た由紀子は「ほらね」と豪真にドヤ顔で口にする。
豪真は、先程も、遥のエクストラロードを目にし、謎のオペラ歌手を背景に、悦に入っていた。
その度に奏根にどやされ、由紀子にはハリセンで頭頂部をシバかれる。
「遥さんの能力、エブリデイ・イン・ホールは、一割ほどしか見破れないでしょうね」
「ええ。本来、遥さんの能力は、世界を変えてしまう程の代物です。この事を知っているのは、私たちメンバーのみ。こればっかりは、露呈させるわけにはいきませんからね」
イリアスが、理亜たちの分析を予想していると、銅羅も賛同し、更には、遥の能力は、まだ、奥が深いらしい事を、ニュアンスに含ませる。
一体、遥の真の能力とは?
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