
第四十七章 裏にはないルール 一話
悔しがりながらベンチに戻っていく奏根たち。
点数は百九対百二十八。
「くそー。あとちょっとだったのにな」
「どんまいどんまい。根性が売りの奏根ちゃんは、これぐらいでめげる子じゃないよ」
「ほんと、お前は能天気だな」
理亜は肩を弾ませると、奏根は呆れる。
「でも、どうしますかね? 芙美さんのエクストラロードがここで切れるとなると、頼みの綱は理亜さんのエクストラロードだけですし」
少し暗い気持ちになる加奈。
「案ずるな加奈。我の乱歩・気流は……」
そこで芙美がある真実を口にする。
「えっ! そうなの?」
「うむ。任せい」
理亜が芙美の説明に驚く。
そこで、高貴が、酷く体力を消耗していた事に気付く豪真。
豪真たちは高貴の元に寄り、「大丈夫?」と憂慮していると、高貴は辛そうな表情で「はい」と振り絞る様に口にする。
「やはりあの十番の強弱を付けたスクリーンアウトは厄介だね」
しかめっ面で知留を見る由紀子。
「ええ。最初にパワー型のセンターと錯覚させ、その体重移動に慣れた高貴と順子が、頃合いと見なされ、弱く、強くを、相手の体重移動に合わせて変える。確かに厄介ですね」
豪真も眉を顰め知留を一瞥する。
「高貴。次は私が出る。大分体力も回復したし。良いよね? 監督」
「ああ。頼む」
順子が目に闘志を宿しながら言うと、高貴と豪真は頷く。
「それから智古と理亜を交代させ、スモールフォワードを理亜。パワーフォワードを芙美にする」
「うん」
「了解じゃ」
理亜と芙美も異論なく、力強く頷く。
「それにしても少ししか出てないのに、凄い疲れるね。あの猛特訓が無かったら、バテバテだったよー」
ベンチに戻りホッとした智古が深く深呼吸をし、一息つくため、スポドリを飲む。
「お疲れじゃん。まあ、私も緊張とプレッシャーで似た様なもんじゃん」
呑気に足をぶらぶらとぶらつかせながら呑気に語る静香。
「よし! 次からはこの五人で行くとこまで行くぞ! スクリーン、きっちりしてこうぜ!」
「「おう!」」
等々、理亜たちは最強メンバーで挑む。
この意気込みが、一体どこまで通じるのか?
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