
第四十三章 応酬の行方 五話
そこで、高貴が跳躍しようとしたが、知留がスクリーンをかけそうはさせない。
相変わらず外見のわりに、タフなスクリーンをする知留。
そのままシュートは決まり、これで点数は、七十八対百四。
ここまで点差を付けられては、非常にまずい状況。
しかし、奏根たちの目の闘志は消えてはいなかった。
「食らいつくぞ! これ以上点差を付けられるな!」
「「おう!」」
奏根が喝を入れると、高貴たちもそれに答える。
高貴が聖加にパスを出すと、聖加は左端から、右端に居るエノアに、高速パスを出す。
そのボールを裏拳で殴り飛ばすエノア。
いつものエノアと聖加の連携プレイ。
左右から交互させ、相手チームのリングに向かって行く。
さすがの遥でも、見えないボールを予測して、自分自身をワープさせられない。
しかし、そこで飛翔が明鏡止水、抜刀の構えになる。
「まさか、あの音速パスを破ろうと言うのか?」
思わず目を剥く豪真。
危険を察知した聖加はパスを出すのを止めて、ボールを手にする。
「ヘイ!」
そこで、奏根がスリーポイントラインでパスを要求すると、聖加は迷わずパスを出した。
奏根はボールを手にすると、遥に右に行くとフェイントをかける。
しかし、動じない遥。
そこで奏根は、ニヤリと笑い「別に乗ってくれなくても良いんだぜ」とキザっぽく口にすると、なんとボールを手にしたまま、片足を軸にクルクルと回り始めた。
そして、奏根の周囲に竜巻が発生すると、遥は竜巻に押し負けたかのように、じりじりと後ろに下がってしまう。
片足を軸に跳躍した奏根。
竜巻に巻かれるようにして、リングにとぐろを巻く様にして向かって行く。
そこで、飛翔が明鏡止水、抜刀、一の太刀で、竜巻をかき消した。
空でボールを奪おうとする飛翔。
しかし、体を捻らせ、柔軟な動きで、飛翔の手を躱す奏根。
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